好きを教えて、生意気なきみ
陽もすっかり暮れた。



「観覧車、乗りたいか?」



渚が、ぴかぴかに光る観覧車を見上げながら言う。



観覧車…。



キスのチャンスだ!



「乗りたい!」

「よし、乗るか」



2人で観覧車の列に並ぶ。



周りもカップルだらけだ。



いいねいいね、みんな楽しんでる?



なんてあたしはちょっと余裕綽々(しゃくしゃく)



あたしたちの番になった。



先に渚が乗り込んだ。



あたしも後から乗り込む。



渚が入るところの天井部分を抑えてあたしが頭をぶつけないようにしてくれる。



さりげなく優しいんだ…。



渚の向かい側に座って外の景色を眺めた。



結構大きい観覧車なので、視界はどんどん高くなっていく。



夜景が綺麗だ…。



「陽鞠」

「ん?」

「こっち」



渚がそう言ってあたしの手を取って自分の方に引っ張った。



ガコン、と揺れて傾く観覧車。



渚がつまずくあたしを抱きとめた。



渚との距離が近い。



渚があたしの顔にかかる前髪を軽くはらった。
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