好きを教えて、生意気なきみ
試合がはじまった。



渚はコート上でよく動く。



パスして、パスされて…。



頭だけじゃなくて運動神経も良いんだね…。



キラキラ光って見えるよ…。



休憩時間になって、渚があたしの方を見た。



そして、隣の尚先輩に視線が動き、眉間にしわを寄せた。



あたしは『ゴメン!』と両手を合わせる。



尚先輩は知らん顔でニコニコしてる。



そしてはじまった後半戦。



見ていたら、尚先輩が「陽鞠ちゃん、なんかおでこのところについてるよ」と言ってあたしの顔に手を寄せた。



瞬間、尚先輩のところにコートからボールが投げられた。



呆然…。



なにがあったのかよく分からないけど…渚が尚先輩にボールを投げた…?



「渚~、急にノーコンすんなよ」

「悪い悪い、手が滑った」



手が滑ってこんなところまで投げてこないよね!?



わざとだ…。



嫉妬深いなあ…。



嬉しいけど。



そして試合は渚のクラスの勝ちで終わった。



「あーあ、負けちゃった。俺のクラス弱いな~」



尚先輩がそう言いながら「じゃあね」とあたしに手を振った。



あたしも手を振って尚先輩と別れた。



渚のところに行こーっと。



なのに…。



「先輩、ちょっといいですか?」



渚のファンの女の子に呼び出されるあたし…。



え…?



なんか女子トイレに連れてかれたんですけど…。



向こうは3人組で、あたし一人なんですけど…?



何されるの、あたし!?
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