好きを教えて、生意気なきみ

【最終話】大好きだよ!

えーっと…。



説明を求めるようにあたしを見る渚。



あたしはとりあえずニコッと笑う。



「渚くん! 今この先輩に水かけられたんだけどお~」



いじめてきた女が甘えた声を出す。



あなたはいったん調子に乗らないでもらってもいいかな!?



渚がその子のことをにらみつけた。



「そっちが先になんかしたんだろ」



そうそう!



その通り!



「渚…。なんかこの子たちにモップ押し付けられた…」



あたしは渚に近づいて、渚の手を握る。



「ジャージ汚しちゃった、ごめんね…?」



同じように甘えた声を出してみた。



渚はあたしを見て呆れた顔。



「それで水かけたわけね…」

「ハイ…」

「試合終わって陽鞠探してもいねえし。近くのやつに聞いたらコイツらとトイレ行ったって聞いて、近くまで来たら水ぶちまける音聞こえてまじ焦ったわ…。陽鞠がかけられたんじゃなくてよかった」



渚がそう言ってあたしの顔を触った。



それから、



「にしても、水かけるなんて強ぇ女」



そう言って笑った。



渚は女の子たちに冷たい顔をして、「陽鞠に手出したらまじで許さねえから」と言った。



「陽鞠、行くぞ」

「うん…」



渚に手を引かれてトイレから出た。



そのまま、誰もいない教室に連れていかれる。



渚のクラスだ…。



1年生の教室は、あたしが去年使っていた教室と同じなのに、なんだか全然違う場所に思える。



渚は自分のロッカーをごそごそと漁ってる。
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