婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

「えぇ、その前に死んでしまったみたいで」

「そうだったんですね……。第一シーズンが好評だったので、第二シーズンが発売されたんです!
 カイル・フェザー様や護衛騎士のアンディ様も攻略対象で、主人公は第一シーズンと同じように聖女様の設定なんですよぉ! それがまた魔法を使うシーンもイラストが美麗で……あぁ、またプレイしたいです……。
 ってエリアナ様、大丈夫ですか?」

「あ、いえ、主人公の女性がいるのね……」


 カイ様と一緒に過ごすうちに、徐々に惹かれていっていると自覚していた。

 でもいざ、『他の女性とカイ様が愛し合う可能性もある』と分かると、胸がぎゅぅっと締め付けられるような気持ちになる。想像するだけで苦しい。この気持ちは……


「エリアナ様、カイ様のことが好きなんですね?」

「え……? やっぱり、そうなのかしら……」

「悩んでいる表情が、恋する乙女です! それに、カイ様は完全にエリアナ様のことが好きですよ! もうあからさまにクリス様とバチバチしてますし、牽制しているのも目撃しました!」

「でも、他の誰かに心を奪われてしまうかもしれないのね……」


(この気持ちは諦めた方が良いのだろうか? でも……)


 先ほどまで美味しく食べていたレモンケーキも、途中から食欲が無くなり残してしまった。


***


 マリア様とお茶をした次の日の夜、魔獣退治の祝勝会と、次の魔獣の王との戦いに向けて決起会を兼ねてパーティーを開くことになった。

 参加者は王太子殿下一団の5名と、私たち4名の計9名だ。

 マリア様の光魔法が発現していないとなると、ここはお互い協力して戦った方が良いという判断になったようだ。
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