婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「……いえ、好いて下さって嬉しいです。むしろ、私もカイ様と一緒に過ごすうちに、徐々にお慕いしておりました」
真剣な表情だったカイ様の顔が、みるみる赤く染まっていく。どういうことだろう? と思っていると、思わぬ反応が返ってきた。
「すまない、自分の想いは伝えようと思っていたんだが、まさかエリアナから同じように気持ちを返してもらえると思わなくて、嬉しくなってしまった……」
「フフ、カイ様ったら、顔が真っ赤ですよ?」
「以前はエリアナが顔を真っ赤にしていたのに、今回は逆だな。でも、嬉しい。本当にありがとう」
そう言って、カイ様はふわっと私を抱きしめた。伝わる体温が心地良く、嬉しい気持ちを噛み締めがら、そっとカイ様の背中に手を添えた。
二人で寄り添っていると、突然カイ様が体を放して話しを続けた。
「いつから私はエリアナのことを好きだったと思う?」
「グラニットで再会してからでしょうか?」
「いや、もっとずっと前からだよ」
「えぇ! では、魔法学園にいた頃からですか?」
それに対して頷くと、カイ様は学園時代に一目惚れしたことや授業で手合わせした時に感じたこと、休み時間に私が本を読んでいる姿を度々見かけたことなど、これまで知らなかったことを沢山話してくれた。
中でも、私が異国の料理本をニヤニヤしながら読んでいたことは、あまりの恥ずかしさに体がのぼせてしまいそうな気分になった。
「もうっ、本を読みながらニヤニヤしていたなんて……好きになる要素ありましたか?」
「いつも凛としている君の気の抜けた表情が可愛らしくて、余計好きになったよ」