婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「カイ様……ちょっと変わっているんじゃありませんか? それにグラニットで再会してからは余計、学園の頃と違う私をお見せしていたと思うのですが」
「あぁ、それもまた良かった。違う一面を見れてもっと魅力的に思ったよ」
「カイ様は、お転婆な令嬢がお好きなのでしょうか……?」
学園を卒業して前世の記憶を思い出した私は、本当に自由奔放に行動していたと思う。女性としてどこが良いのか、ますます不思議に思ってしまった。
でも、私が思う私と、カイ様から見た私は少し違っていたようだ。
「エリアナは自由奔放に行動しているように見えて、実は、いつも誰かの為を思って動いていると私は思ったよ」
「え、それはどういう……?」
「夢で魔獣が現れる場所を見たとしても、大抵の人は知らないふりをすると思う。女性で、貴族なら尚更。
でも、エリアナは私が止めれば一人でも魔獣の場所に向かっていたと言ったよね? それはこの国や国民が危険な目に遭わないよう、出来ることをしたいと思ったからじゃないかな?」
「それは、確かに……そうかもしれません」
カイ様が言うような「国」とか「国民」とか大それたことは思っていなかったけれど。今まで出会った住民や大事な人に何かあってからでは嫌だ、と思っていたのは事実だった。
「それに、エリアナが作る料理に皆が笑顔になっていたね。自分では好きなことをやっているだけ、と思っていたかもしれないが、それを独占せず惜しみなく分け与えた。
対価としてお金はもちろんもらっていたが、時にはレシピも無償で提供していたし……それがどれほど凄いことだと思う? 見返りを求めていないエリアナは、何とも思っていないようだけど」