婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

 そこには一切の迷いがなく、まるで本当に私のために命を差し出してしまうんじゃ無いかと思うくらいだ。少し、怖い気持ちになった。


「カイ様……『命に替えて』だなんて言わないでください。私はカイ様と一緒に生きていきたいのです。カイ様に盾になってもらうのではなく、私も一緒に戦います。私が言い出したことに巻き込んでおりますし」

「そうか、エリアナは守ってもらうだけの『お姫様』ではなかったな。あぁ、共に頑張ろう。この王国の全ての魔獣を牛耳るくらいだから、一筋縄ではいかないだろうけど」


 こうして、想いを通わせた私達は「必ず皆無事に帰ってこよう」と約束した。


 この時、私は魔獣の王の強さを、甘く見ていたのかもしれない。だから、まさかあんなに酷いことになるとは、露にも思っていなかったーー。


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