婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
第17話:いざ、魔窟の最深部へ
カイ様と想いが通じた夜、廊下からドタバタと急いで歩く音が聞こえてきた。
「お、来たかな?」
「誰でしょうか?」
「あの足音はアンディとケイティだろうな。ハハ、あの二人も仲が良いよなぁ」
すると、カイ様の宿泊している部屋の扉がバンッと開いた。
「カイ様〜〜〜〜」
「プハッ アンディ、そんなに怒らなくても良いじゃないか」
「お嬢様! ご無事ですか!?」
「えぇ! ごめんなさい、突然いなくなってしまって」
その後、結局カイ様はアンディから、私はケイティから「なぜ突然いなくなったのか」と問い詰められることとなった。
それぞれの口で恋人同士になったことを伝えると、どうやら二人とも「やっとくっつきましたか……」と、全く同じ反応だったらしい。
特にアンディはずっとカイ様が片想いしていたことを知っていたから、ずっとやきもきしていたそうだ。
「二人とも、私たちがいつになったら恋人同士になるのか、見守ってくれていたのですね」
「あぁ、そのようだな」
カイ様と目を見合わせて笑みが溢れる。この日は魔獣の王退治に向けて、宿でゆっくり過ごして魔力を温存していた。
王太子殿下一団も同じように過ごしているらしい。それぞれ溜まった魔力を魔石に移したり、魔道具や剣の手入れをしていた。
そうして後日、私たちは魔獣の王が住む、魔窟の入り口に向かったーー。
***
「エリアナ様、カイ様と何かありました?」
「えっ!? なぜですか? マリア様」