婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
魔窟の入り口で王太子殿下一団と合流した私たちは、魔獣のいる最深部に向けて歩き始めていた。
先日、前世の話をして仲良くなったマリア様がこそっと耳打ちしてどきりとした。
「カイ様のエリアナ様を見る目が、以前よりとても甘いです。糖度、爆上がりですもん!」
「えぇ? 本当ですか?」
そう言ってカイ様のいる方に目を向けると、バチッと目が合い、カイ様がにこっと笑顔を向けてくれた。
「あぁ、第二シーズンの主要攻略キャラ、笑顔が眩しくて尊い……生きてて良かった……」
「マリア様! ちょっと戻ってきて!!」
「あ、すみません、あまりの眩しさに眩暈がしました……」
「もうっ カイ様も、あれじゃバレバレじゃない……」
「あれは隠す気もありませんね。エリアナ様、愛されてるなぁ! 羨ましい〜!」
そんなことを言い合いながら、皆で歩き続ける。私たちの関係は少しずつ変化しているんだな、と改めて感じていた。
先頭を歩いていた魔法使いのニール様が、皆に声をかけた。
「この先は魔獣が出てきますので、皆さん注意してください」
扉を開けると、少し景色が変わる。緑が生い茂っており、気温も高く熱帯林の中に迷い込んだという感じだろうか。
以前出会った魔獣と同じく、キツネのような見た目をした火属性の魔獣が何匹か現れた。
「ここは水属性が使える方で戦いましょう。私とカイ殿、エリアナ様で」
「「はい」」