婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
笑いながらアンジェロ様が通訳をしている。騎士団長のレオナルド様がおにぎりを持って、たまたま私の近くに腰を下ろした。
「エリアナ様、食事の準備までありがとうございます。こちらの食べ物は何と言うのですか? ライスを固めたように見えるのですが」
「はい、そちらはおにぎりですよ。中に何かしら具材を入れています」
「ほう、私のは何が入っているか楽しみですね。エリアナ様の作るものを食べると、なぜか魔力が回復するような気がするのですが……不思議ですよね」
レオナルド様が、にこりと爽やかな笑顔を向ける。さすが攻略対象キャラ、笑顔が眩しい……。
しかもこの服の下には鍛え上げられた筋肉と分厚い胸板があるのか……と前世のスチルを思い出していると、カイ様が割って入ってきた。
「エリアナ、私という恋人がいながら浮気しているのかい?」
「カイ様! そういう訳では……カイ様は嫉妬深いのですか?」
「あぁ、カイ殿とエリアナ嬢は恋仲にあったのか、これは失礼した」
「レオナルド様。今はご飯の感想を聞いていただけですし、謝る必要は……」
「カイ様、あまり嫉妬深いとエリアナ様に嫌われますよ?」
サッとアンディが割って入って、主人であるカイ様を諌める。カイ様は子供のようにムスッと拗ねた顔をした。
「エリアナに嫌われたら、私は生きていけないな」
「もう、カイ様ったら。レオナルド様、先ほど戦ったばかりですし、いっぱい食べてくださいね?」
「えぇ、有り難く頂きますね」
「エリアナ、私にもくれる?」
「はい、カイ様。もちろんですよ。この唐揚げはいかがですか?」