婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「君、彼女が何に負の感情を抱いていたか気になる?」
「……えぇ、気になるわ」
「まぁ、彼女はこの世界に突然転移させられて、聖女としての力もなくて、周りから必要とされていないのが辛かったみたいだね〜。
でも、君は周りから愛されているだろう? その姿を見て心の奥底では、妬みと嫉妬のオンパレード! アハハッ 君、気付いてなかった?」
「そんな……」
まさかの指摘に言葉を失ってしまう。
私はマリア様のことを分かったような気でいて、何も分かっていなかったんだ。彼女の抱える、計り知れないほど重い心の鉛を……。
その時、カイ様の言葉が私の思考を遮った。
「エリアナ、重く受け止めるな。その悲しい感情も奴の餌になる」
「おー君のような賢い人間もいるんだね。珍しいな〜! さて、せっかくお腹も満たされたし、君たちのお相手をしてあげた方が良いかな?」
「あぁ、望む所だ!!」
「威勢の良い王太子殿、君は本当に僕に勝てるのかなぁ?」
サタンがそう言った途端、彼の指先から沢山の稲妻が私たちに目掛けて飛んできた。
魔法使いのニール様が「土魔法!!」と叫び、ニール様とケイティが急いで魔法を放つ。土壁のような物が現れて、私たちを稲妻から守ってくれた。
「ハハ、魔法使い君、良いね〜! もっと僕を楽しませてくれる?」
次は一面の炎に囲まれてしまった。ニール様が「水魔法!」と叫んだのを合図に、ニール様とカイ様、私の三人で水魔法を放つ。
ニール様は立て続けに魔力を放出し、少し息を切らしていた。
「アンジェロ様、ニール様に治癒魔法を!」