婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
マリア様から思いがけない依頼をされたが、私はそれを叶えられるよう努力する旨を伝え、お茶会はお開きになったーー。
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その後、私はカイ様とアンディ、そして侍女のケイティと共にマリン帝国に渡り、皇太子妃になるための準備を始めた。
聖女不在となってしまったキアラ王国はと言うと、魔獣の王・サタンを弱体化させたこともあり向こう数年は瘴気など問題にならないだろうとなった。
しかし、『本当の聖女』と婚約破棄してしまった代償はとても大きいと判断され、クリス様は王位継承権を剥奪されてしまったそうだ。
彼の歳の離れた弟が、王位を継承することに決まった。
クリス様は今回の一件で心を入れ替えたのか、腐敗した政治や貴族社会の膿を取り除くべく尽力した。
そう言った所から生まれる『負の感情』が魔獣の王の栄養になることが分かったからだろう。
そして、キアラ王国の国民がもっと手軽に魔道具を使えるよう、魔法使いのニール様と共に目下取り組んでいるらしい。
魔道具が広まれば、より手軽に美味しい食事を作れるようになる。私はマリア様に別れ際に頼まれた、レシピ本を作ってキアラ王国に広めた。
聖女が作ったレシピ本と言うこともあり、爆発的に流行しているそうだ。
そんな『キアラ王国の聖女様』となった私が今、何をしているかと言うとーー。
「エリアナ、調子はどうだ?」
「カイ様! 少し味見してみて頂けませんか?」
そう言って、カイ様に出来立てのオリーブパンを差し出す。今日は城内にあるキッチンの一部スペースを借りて、新作のパンを試作している所だ。
カイ様が嬉しそうにパンを食べ始めた。