婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「はい、婚約破棄されて、むしろ活き活きされているように見えますね。自由になって本来のエリアナ様が表に出ているのではないでしょうか」

「そうかもしれないな。それにしても、本当に色んな表情の彼女が見れて楽しいな。あ、市場に行くようだから着いて行くぞ」

「かしこまりました、参りましょう」


***


 私とケイティは、早速グラニットの市場に向かった。王都の外れということもあって、グラニットを出れば森があり、さらにその先には草原や山もある。

 山の麓にはまた別の集落があり、そこの集落の人が育てた野菜や肉なども市場で手に入れることができた。


(ジャガイモやニンジン、コムギもあるわ。並んでいる物も呼び方も完全に日本語。元々が乙女ゲームの世界だから、そのまま反映されているのね。
 逆になんで私は今まで全く気づかなかったのだろう……。)


 ミルクのような消費期限が短いものは、魔道具で冷やしながら、風魔法使いによって通常より早く運ばれているようだ。

 魔道具自体が貴重なものなので、その分ミルクの値段も野菜に比べると高い。でも、私はどうしても美味しいご飯をケイティに振る舞いたいと思っていた。


(ミルクと根菜類、お肉があれば……シチューが作れるんじゃないかしら! あぁ、それに付け合わせにパンも作りたいけれど、この世界のパンってどうもパサパサしているというか……

 よく考えたらイーストやベーキングパウダーが入ってないのかもしれないわ。どうやって手に入れたらいいのかしら)


 市場の食材を前に、うーんと考え込む。何かこの世界のもので代用できるものがあれば良いのだが。
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