婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
前世で一度、自分で酵母を作る方法を調べたことがある。りんごから酵母を作ることもできるのだが、その工程は1週間近くもかかるのだ。
気の遠くなるような作業で実際にはやらなかったが、この世界でもそれほど手間がかかる作り方では広まらないだろう。
魔道具で酵母が作り出せるか……いや、それよりもっと植物の方が近いだろうか。酵母菌が増えるのに適した環境といえば、水、栄養分、酸素……。
「あ! 森にいるスライムが酵母菌の役割をしてくれるかも!」
「……え!? お嬢様、市場だけじゃなくてスライムまで取りに行くんですか!?」
「ちょっと実験的な感じだけど。うまく出来なかったら、スープだけになってしまうかもしれないわ」
「お嬢様の常識を超えた発想はどこからやってくるのでしょうか……。でも、私はどこまでもお供します!」
市場で必要な物を購入した私達は、一度自宅に戻り荷物を置いて、スライムが生息する森に向かった。
微生物を食べて自然を浄化しながら生きるスライムは、ますます酵母菌を生み出してくれそうな気がしてきた。
素手でスライムを捕まえて、再度自宅に戻りパン作りを始めた。
小麦粉やお水を混ぜ合わせて、ひたすらパン生地をこねていく。スライムのお陰で、酵母菌を生地に含ませることができた。
パンを焼く良い匂いがしてきた所で、ドアをノックする音が聞こえる。
ーーコンコンッ
「あら、誰でしょうか? 見て参りますね」
「えぇ、公爵家の使用人かしら?」
驚くことにそこに現れたのは、学園の元同級生であるカイ様とアンディ様だった。
***
気の遠くなるような作業で実際にはやらなかったが、この世界でもそれほど手間がかかる作り方では広まらないだろう。
魔道具で酵母が作り出せるか……いや、それよりもっと植物の方が近いだろうか。酵母菌が増えるのに適した環境といえば、水、栄養分、酸素……。
「あ! 森にいるスライムが酵母菌の役割をしてくれるかも!」
「……え!? お嬢様、市場だけじゃなくてスライムまで取りに行くんですか!?」
「ちょっと実験的な感じだけど。うまく出来なかったら、スープだけになってしまうかもしれないわ」
「お嬢様の常識を超えた発想はどこからやってくるのでしょうか……。でも、私はどこまでもお供します!」
市場で必要な物を購入した私達は、一度自宅に戻り荷物を置いて、スライムが生息する森に向かった。
微生物を食べて自然を浄化しながら生きるスライムは、ますます酵母菌を生み出してくれそうな気がしてきた。
素手でスライムを捕まえて、再度自宅に戻りパン作りを始めた。
小麦粉やお水を混ぜ合わせて、ひたすらパン生地をこねていく。スライムのお陰で、酵母菌を生地に含ませることができた。
パンを焼く良い匂いがしてきた所で、ドアをノックする音が聞こえる。
ーーコンコンッ
「あら、誰でしょうか? 見て参りますね」
「えぇ、公爵家の使用人かしら?」
驚くことにそこに現れたのは、学園の元同級生であるカイ様とアンディ様だった。
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