婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
そんなことが頭をよぎった瞬間、激しい頭痛と共に私の前世の記憶が洪水のように流れ込んできた。そう、前世では『高梨えりな』という日本人で、会社勤めの一般人だったということを――。
***
<遡ること、数時間前>
「お姉様、今日殿下はいらっしゃらないのですか?」
「レオン……そうね、昨日王宮は大騒ぎだったようだし、何か事情があるのかもしれないわ」
自宅であるエンフィールド公爵家のソファに座り、私は弟のレオンと向かい合って話をしていた。
王宮に出入りしている父から、「異世界から聖女の召喚に成功したらしく、王宮は大騒ぎだった。聖女様はマリア・ササキ様と言うらしい」と教えてくれた。
さらに、「まさかとは思うが……王太子から『婚約破棄』などされたら公爵家の恥だからな。エリアナ、くれぐれもそのようなことが無いよう、気をつけるのだぞ」と釘を刺されていたのだった。
「……そんなの、私の力ではどうしようもないことなのに」
「お姉様、どうされました?」
「いえ、何でもないわ。さぁ、そろそろパーティーに向かう準備をしないといけませんね。ではレオン、また後ほど」
魔法学園の卒業パーティーには一部の在校生も参加する予定で、その中に弟のレオンも含まれていた。
私はエスコートなど無くても気にせず一人で行くつもりだったが、心配性のレオンが「僕がエスコートします!!」と言ってくれたので、それに甘えることにした。
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<遡ること、数時間前>
「お姉様、今日殿下はいらっしゃらないのですか?」
「レオン……そうね、昨日王宮は大騒ぎだったようだし、何か事情があるのかもしれないわ」
自宅であるエンフィールド公爵家のソファに座り、私は弟のレオンと向かい合って話をしていた。
王宮に出入りしている父から、「異世界から聖女の召喚に成功したらしく、王宮は大騒ぎだった。聖女様はマリア・ササキ様と言うらしい」と教えてくれた。
さらに、「まさかとは思うが……王太子から『婚約破棄』などされたら公爵家の恥だからな。エリアナ、くれぐれもそのようなことが無いよう、気をつけるのだぞ」と釘を刺されていたのだった。
「……そんなの、私の力ではどうしようもないことなのに」
「お姉様、どうされました?」
「いえ、何でもないわ。さぁ、そろそろパーティーに向かう準備をしないといけませんね。ではレオン、また後ほど」
魔法学園の卒業パーティーには一部の在校生も参加する予定で、その中に弟のレオンも含まれていた。
私はエスコートなど無くても気にせず一人で行くつもりだったが、心配性のレオンが「僕がエスコートします!!」と言ってくれたので、それに甘えることにした。