婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
カイ様はにこりと微笑み私の方を見る。少し甘い雰囲気を感じるのは、気のせいだろうか?
(もう、私じゃなかったら勘違いしちゃうってば……)
「それで、エリアナは明日からどうする? 原因を究明すると言っても難しいと思うが……日を改めて、また販売を始めるか?」
「そうですね……あのような騒ぎになってしまったので、当面は販売を止めようと思います。
それに、連日水魔法や火魔法を酷使していたので、そろそろどこかで休憩しなければと思っていたんですよね!
思ったより売れてしまったので、休むタイミングも失ってましたので。ちょうど良かったのかもしれません」
しんみりとした空気を打破するよう、私は務めて明るく言う。
でも、本当は自分が瘴気を浄化できたり、直接的に役に立てればどんなに良いかと思う。結局私は特別な魔法は使えない、ただの貴族令嬢なのだ。
内心では『私って無力だなぁ……』とも思っていたし、余計に外面だけでも元気に見せようとしていた。
その時、突然カイ様が何かを思い出したかのように、私に話しかけた。
「そういえば、魔獣がこの街の近くに出没したらしい。私も一緒にこの家に住んでいいか?」
「「え??」」
私とケイティは目が点になっていたと思う。「ちょっとそこまで買い物に行ってくる」くらいのノリで言うものだから、頭が追いついていなかった。
その言葉の意味を理解した時には、二人して大きな声を出していた。
「「えぇーーー!?!」」