婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

「いや、余っている部屋とか、なければリビングのソファで寝るでも良いから。女性二人だけ、というのも何かあったら心配だと思っていたんだ。近隣の魔獣騒動が落ち着くまでで良いんだ」
 
「え、カイ様、もしかしてエリアナ様を……!? そちらの方が危ないです!!」

 
 近くにある箒を掴もうとするケイティ。それは流石にマズいのではないだろうか。

 
「おい、ケイティ、何も私はエリアナを襲うなんてことはしないぞ? 不安なら寝る時に縛ってくれても良い。いや、それではしっかり寝れないな……」
 
「ケイティ! 大丈夫よ、カイ様は私のことをそんな風には思っていないもの。ねぇ?」

 
 そう言って3人に目を向けるが、皆曖昧な表情というか……アンディとケイティは目を合わせてくれないし、カイ様はニコニコしている。

 
「え……? ちょっとよく分からないけれど、カイ様がいて下さるなら安心ですわ」

「あぁ、そう言ってもらえると嬉しい。私もマリン帝国から依頼されている仕事で夜遅くなったりするから、長時間はいないよ。
 あぁ、でもエリアナの作るご飯が食べられるなら、頑張って早く帰ってこようかな」

「カイ様、それはちょっと……完全にエリアナ様に胃袋を掴まれているじゃないですか。きちんと仕事してくださいよ?」

 
 アンディからの鋭いツッコミに、苦笑するカイ様。


 ーーこうして、私とケイティ、カイ様、3人での同居生活が始まったのだった。



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