婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
第6話:可愛いって、私のことですか?
突然の同居生活の提案に、最初はどうなるかと思ったが、カイ様は相変わらず多忙を極めていて帰りも遅かった。
(きっと、今まで無理して時間を作ってくれていたんだわ……。
無理してパン売りまで手伝わなくて良かったのに、どうしてそこまでして下さるんだろう?)
せめて美味しいものを食べて、元気に過ごしてほしい。そう思い、ご飯は多めに作ってカイ様に残しておいた。
朝にはいつも「美味しかった、いつもありがとう」と置き手紙があった。
パンを売りに行けなくなって、4日目。最初は魔力を溜め込むように沢山寝て、家の掃除をしたり本を読んだりしながらゆっくり過ごしていた。
でも、流石に3日も同じ生活をすると飽きてくる。前世で社畜だったからなのか、持って生まれて性分なのか、どうにもじっとしていられなかった。
「ケイティ……もう、飽きたわ」
「お嬢様、早かったですね」
「もう自分で野菜を育てようと思うのだけど、ケイティも手伝ってくれる?」
「えぇっ!? 次は野菜を自分で育てるのですか??」
「そう。何から作ろうかしら? 考えただけでわくわくしてきたわ!」
ケイティは私の突拍子もない提案に驚いていたが、もうそれも慣れてきたようだった。
早速二人で家の裏庭に行き、土づくりから始めることにした。何を育てるにしても、土の環境は重要だ。ケイティの土魔法で、深く耕すのもとても簡単だった。