婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「ケイティの土魔法、本当に羨ましいわ。この力があればどこでも野菜を育てられるもの。それに、野菜だけじゃなくて、お花も上手く育てられるでしょう?」
「私はお嬢様の水魔法と火魔法の方が羨ましいですよ! 侍女は水魔法が必須のようなものですから。掃除、洗濯は特に」
「確かに掃除洗濯には便利ね。まぁ、こうやってお互い助け合って生きていけば良いものね」
「えぇ、そうですよ。私はお嬢様に助けて頂いてばかりですので、野菜を育てるのはお任せください!」
ケイティが胸にドンッと手を当てて、とても張り切っている。自分の本領を発揮できるのが嬉しいようだ。
「お嬢様、庭では何を育てましょうか?」
「そうね、グラニットの土地で育てるのは何が良いのかしら? 市場にはジャガイモとかニンジン、コムギがあったけれど……」
「ジャガイモとニンジンは良いかもしれませんね。ニンジンは確か種に保水力がないので、最初の水やりが肝心ですがお嬢様の水魔法で調整はできると思いますし。
あ、あと、ラディッシュはいかがでしょうか? 育てやすいと思います」
「ラディッシュ、良いわね! 収穫出来たらサラダにしようかしら。 ケイティ、あなた本当に詳しいのね。さすがだわ、沢山勉強したのね」
その後、グラニットに住む農家さんの所に行き、種を数種分けてもらった。裏庭に戻って早速、種植えを始める。
「ふーっ ケイティ、土いじりってとても楽しいわね!」
「そのようなことを言う貴族令嬢はお嬢様だけかもしれません。私は好きですが」
「ふふ、ありがとう。褒め言葉として受け取るわね」