婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

 二人で種植えを続けていると、そこにカイ様が現れた。


「エリアナ、ケイティ! 二人とも何をしてるんだ?」

「あ、カイ様、お帰りなさいませ! 今日はお帰りが早かったんですね!」


 カイ様は私達が汗を滲ませながら土いじりをしている様子に、目を丸くして驚いていた。でも、すぐに状況を把握して笑みが溢れた。


「ハハ、次は野菜を育て始めたのかい? もちろん、言い出したのはエリアナだね?」

「はい、カイ様。エリアナ様が家でじっとしていることに飽きたそうでして」


 それを聞いたカイ様が「プハッ」と吹き出す。


「全く、本当に突拍子もないお嬢様だ。私に手伝えることはあるかな?」

「いえ、私の土魔法とお嬢様の水魔法で、上手く出来たかと思います。そろそろ終わりますので、もう少々お待ちください」

「あぁ、片付けだけでも手伝うよ」


 カイ様に片付けも手伝ってもらい、裏庭の畑づくりは無事に終わった。部屋に戻り、私とケイティは一度シャワーを浴びることにした。

 シャワーを浴びてスッキリした後は、二人で料理に取り掛かる。今日はカイ様も手伝ってくれた。


「今日は何を作ろうかしら……。そういえば。カイ様の祖国、マリン帝国では何か珍しい食材などあるのですか?」

「そうだね、キアラ王国になくてマリン帝国にあるものと言えば……香辛料は色んな種類があると思う。あと、レモンやオリーブもあるかな」

「わぁ! 良いですね。香辛料があればカレーも作れそうですし、レモンケーキとかオリーブオイルのサラダとか……あぁ、早く行ってみたいです!」
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