婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「ハハ、エリアナが行きたいならいつでも招待するよ」
「カイ様、エリアナ様を口説いてますか?」
「あら、ケイティ。そういうことではないんじゃない?」
「……」
ケイティは黙ったまま、ジッとカイ様を見ていた。そんなに警戒しなくても、カイ様にその気は無いと思うのだけど……。
「そうだ。せっかくチーズも手に入れたし、これを丸ごと使って料理をしたいわね。
あ! チーズフォンデュなんてどう? 料理と言えないくらい手抜きディナーになってしまうけれど……」
「お嬢様、チーズフォンデュというのは何ですか?」
「熱々のチーズにパンやジャガイモ、ブロッコリーなんかをたっぷりつけて食べるの! とっても美味しいわよ!」
「良いじゃないか、美味しそうだし、ワインにも合いそうだ。今日は畑仕事をして疲れただろうから、手抜きくらいが丁度良いだろう」
「では、そうしましょう!」
火魔法を使って、チーズを熱々とろとろに溶かしていく。ジャガイモやブロッコリーといった食材は、ケイティがカットしてくれた。カイ様はテーブルの準備をしてくれる。
「それでは早速……」
「「「いただきます!」」」
少し硬くなったパンでも、熱々のチーズで食べやすくなった。
「アフっ ん〜!おいひいです!」
「フフッ ケイティったら、そんなに急いで食べなくても」
「エリアナ、とても美味しいよ! これが手抜き料理だなんて思えないな」
今日も美味しいご飯で皆が笑顔になってくれる。早く飲食店を開きたいな……と改めて思った。
「そういえば、カイ様はどうして早く帰ってこられたんですか?」