婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
(乙女ゲームなんて言っても絶対分からないだろうし……『何でそんなこと知ってるの?』と聞かれても、信じてもらえるかどうか……。
でも、これを話してしまったら、もうここでゆっくりスローライフを過ごしていくのは無理かもしれない)
ああでもない、こうでもないと頭で考えていたが、もうグダグダ考えるのも面倒になってしまった。
「あの……皆さんに信じてもらえるかどうか分からないのだけど……」
「エリアナ、どんなことでも話してほしい」
「寝ている時、夢を見たんです。これからどこに魔獣が現れるのか、聖女様がどこに行って浄化をすべきか……」
「それ、詳しく教えてくれる?」
(本当は夢じゃなくて、前世でプレイしたゲームのシナリオなのだけど……!)
「本当にこれ通りになるかどうかは、分かりません。でも、何もしないよりは、参考になるかもしれません」
そうして、私はこの先どこの街でどんな属性の魔獣が現れるのか、本来なら聖女が王太子や騎士団長・魔法使い・神官らと共に各地を巡って浄化活動をするはずであることなど、三人に話していった。
話し終えて皆の反応を伺うと、カイ様がすぐに切り出した。
「それは、あり得るね。これからその街に現れるのかもしれない。私達もそこに向かうことにしようか」
「え!! 良いんですか? もし私が行きたいって言ったら、カイ様は絶対反対するかと思いました」
「うん、危険な目に遭わせたくない、という意味では絶対止めたいんだけど。
一緒に行こうって先に言っておかないと、エリアナ、一人で飛び出して行っちゃうでしょ?」
「ウッ……」