婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
第10話:エリアナの潜入捜査
これまで滞在していたグラニット近くの森を抜けて、草原を渡り、山の麓にあるドルフ村に向かった。
乙女ゲームのシナリオ通りであれば、最初にこの辺りで魔獣が現れるはずだ。先に村に到着していたアンディと合流し、現地の人々から情報収集した内容を教えてもらった。
「エリアナ様の予言通り、数日前から、土属性の魔獣の目撃情報があるようです」
「予言って言われると、変な感じね」
「それと、これはエリアナ様にとって幸か不幸か、何とも言いにくい情報もありまして……」
「あら、なぁに?」
少しだけ躊躇ったアンディが、話を続ける。
「この辺りを管轄している領主の館が近くにあるのですが、本日、そこに王太子殿下一行が来るようです」
「えぇっ! 本当に来るのね! ……あまり会いたくないわね」
「今回の魔獣退治のために皆さんでいらっしゃるようです。聖女マリア様とクリス王太子、騎士団長のレオナルド様、魔法使いのニール様、神官のアンジェロ様の5名と、王家の護衛騎士や侍女達の大所帯のようです」
「まぁ!」
乙女ゲームでは5人で各地を巡る旅だったが、そんなに大所帯だったのだろうか?
この時、「推しとまでは言えないけれど、強いて言うならあの人に会ってみたい」と思っていた人の名前が出て、僅かな反応を示した私をカイ様は見逃していなかった。
この件は後で問い詰められることになるのだがーー。
「ねぇ、アンディ。私良いことを思いついたのだけれど」