婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
まさかこんなに早く現れるとは思わなかったけれど、夜の暗い中での戦いではなく安心した。
『逃げろ』と言われたが、私達は反対に魔獣のいる方向に向かって走っていく。
「ご主人や働いている皆さんは急いで逃げてください!!」
「えっ お嬢ちゃん達は!?!」
「私達は、魔獣を退治してきます!!!」
「えぇぇぇぇ!?! 無理はするなよ!? 俺たちはドルフ村に滞在している聖女様達に助けをお願いしてくるからっ!」
「はい! 行ってきます!!」
こうして向かった先には、大きな土の塊となった魔獣がそびえ立っていた。
前回の魔獣はキツネのようで少し可愛げがあったけれど、特にそういった感じでもない。同じく額あたりに魔石が埋め込まれていた。
(これじゃ魔獣と言うより、魔物って言う方が正しいのかしら?)
敵をまじまじと観察してしまう。そして私は、カイ様に声をかけた。
「カイ様、いけそうでしょうか? 私達も援護します!!」
「いや、私に任せてくれ! それにしても奴はデカいな……こんなに巨大化するものなのか」
「大丈夫ですか?」
「あぁ、倒し甲斐があるというものだ……!」
カイ様の凛々しい横顔を見て、つい『かっこいい……』と思ってしまった。いや、これは10人女性がいたら、全員が満場一致でかっこいいと思ったはず。
「一度、風魔法を当ててみよう。みんな、後ろに下がっていてくれ!」