婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

 そう言われて後方に下がると、カイ様が魔力を集めるような姿勢を取り始めた。そして、高速の風魔法をビュンビュンと何度も魔獣に叩きつける。

 しかし、相手の体があまりにも大きいからか、なかなか微動だにしない。


「やはりダメか。エリアナ! 申し訳ないが、君にも協力してもらいたい!!」

「えぇ! もちろんです! カイ様、どのような作戦でしょうか!?」

「君と私の水魔法であいつの体をドロドロにして、溶けた所を君の火魔法で砂状にする! その後は固まる前に、一気に私の風魔法で飛ばすんだ!
 あとケイティ、君の土魔法で、瞬時に土が固まるのを阻害できるか?」

「はい! お任せください!!」


 ここからはカイ様の作戦で、三人の連携プレーで戦うことになった。

 アンディは雷魔法の使い手なので、土属性の魔獣とは相性が悪い。必要となれば接近戦で戦えるよう、剣を構えていた。


「よしっ!ではいくぞ、まずは水魔法!!」
「はい!!」


 私は集中して水魔法を放出するイメージをする、カイ様と息を合わせるように、魔獣に向けて一気に放出した。

「グァァァァァァァッッ!!」

 土の塊だった魔獣が一気にドロドロに溶けていく。それだけでは敵の体を飛ばせないので、次は私の火魔法の出番だ。


 後天的に身につけたのでまだコントロールに自信はないが、自分の中の別の引き出しを開けるようなイメージをする。

 燃え盛る炎をイメージ出来たら、次は火魔法を一気に放出した。


 ドロドロになった泥が、サラサラの砂状に変化していく。まだ体を繋ぎ合わせようともがく魔獣に対し、ケイティの土魔法でなんとか押さえつけた。
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