婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
ここからは、カイ様の風魔法で一気に畳み掛けていく……!
「カイ様!!」
「あぁ、任せてくれ!」
再度、高速の風魔法を魔獣に叩きつける。私達も立っているのがやっとで、周りの木々の葉がどんどん飛ばされていった。
そして、魔獣は断末魔の叫びを上げながら、辺りに消えていった。先ほどまで魔獣がいた場所には、額に載っていた魔石がポトンと落ちている。
「カイ様! 凄い威力でした!!」
「あぁ、でも事前に調査していた魔獣より、一回り小さいような気がするな……」
「えっ!?! あれでもですか? かなり大きかったと思うのですが」
「今倒した魔獣もかなり大きかったが……アンディはどう思う?」
「確かに、事前に聞いていた目撃情報とは少し異なる気がしています」
「そんな……」
せっかく倒したと思っていたのに、まだ気が抜けないなんて……。次こそは魔法使いのニール様が倒してくれないだろうか、なんて思ってしまった。
「ひとまず、一旦温泉宿に戻ろうか。あ、特に二人は王太子達がくる前に戻って、隠れた方が良い。鉢合わせてしまったら気まずいだろう? 先ほどの魔獣退治の件は、私とアンディから説明しておくから」
「ありがとうございます! 確かに、“エリアナ”としてここで再会するのは色々とまずいですね。急ぎましょう!」
そうして、私たちは急いで元いた温泉宿に戻った。その後すぐ、王太子一団がやってきても問題ないよう、『侍女・オフィーリア』に変装しておいた。
ケイティも前日と同じような変装をして、突然誰かと出会しても問題ないようにしておいたが、私たちは運良く、王太子と鉢合わせることがなかった。
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