婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

「カイ様、クリス様には何と説明されたのですか?」

「今回現れた魔獣については、私の風魔法で退治したと言っておいたよ。魔石も見せたから、それは事実だと納得しただろう。
 ただ、ニール殿は若干噛みついてきたけどな」

「ニール様が?」

「あぁ、『風魔法だけで倒せたのですか?』とな。私達二人では火魔法を扱えないことに気付いて、そう聞いたのだろう。さすがニール殿は頭が切れるな」

「まぁ! それで、どのように説明したのですか?」

「今回は風魔法だけでどうにかなった、でも事前に住民が言っていた魔獣よりやや小さかったように思うと伝えておいたよ。それを聞いて、彼らは一旦村にある領主の館に戻っていった」

「そうだったのですね」


 やはりまだ魔獣が出る可能性があるのだろうか……そう不安な気持ちになっていると、カイ様は明るい声で話し始めた。


「まぁ、次にもし魔獣が出ても、ニール殿が倒してくれるかもしれないな。我々は魔獣退治をしたのだから、お腹を満たして温泉に浸かるのはどうだ?」

「賛成です!! でも、何食べましょうかね? ここで出てくる食べ物はいかがでしたか?」

「あーーそれは……」


 カイ様とアンディが顔を見合わせる。
 あ、これはあんまり美味しくなかったんだろうな。なんとなく察してしまった。


「恐らく、エリアナの予想通りだ。最近エリアナの作るものをよく食べていたせいか、どうも他のご飯が味気なく感じてしまってな」

「もし食材があれば、私の方で料理させて頂けますかね? 働いている皆さんも、魔獣が出た後で落ち着かないでしょうし、私が料理を振る舞いたいです」
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