婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

 私たち4人は、急いで音のする方向へ向かった。そこに現れたのは、昨夜退治した魔獣より一回り大きい土の塊をした魔獣だった。
 感じ取れる魔力も、昨日より格段に強い。


「カイ様の風魔法なら大丈夫だと思いますが、わたし一人の火魔法だとかなり厳しいと思います……! ど、どうしましょう……」

「エリアナ、落ち着いて! ひとまず、いくつか魔石は持ってきてる?」

「はい、こちらにいくつか。火魔法はクリス様の方が圧倒的に得意なので、足止めくらいしか出来ないかも……」


 魔獣のあまりの大きさに、珍しく足がすくんでしまう。そんな風に自信を無くしている時だった。


「「「エリアナ様ーーー!!」」」

「えっ!? 宿のご主人に、他の皆さんまで!! どうされたんですか??」

「俺の宿、火魔法や水魔法を使える人間が多いんだ! あと、土魔法使いもいる! 何か手伝えるんじゃないかと思って、駆けつけたんだ!」

「そんな、皆さんも一緒に戦ってくれるんですか……?」

「あったりめーよ! 散々ご馳走してもらってレシピまでくれて、挙句逃げるなんてそんなことはしたくねーんだ! それに、エリアナ様が作るご飯を食べたら、不思議と魔力が増えた気がして。なっ?みんな!」

「そうなんですよ、エリアナ様! なぜか、魔力量が増えたみたいで! なので、何でも指示してください!」

「そんなことが……いえ、今はとにかく皆さんで協力しないとですね! 是非皆さんの力を貸して下さい!!」


 昨日魔獣退治した時よりも、人手が倍以上に増えている。これほど心強いことは無かった。
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