婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

「なんだって?! もう魔獣を倒しただと? どうやって倒したんだ!?!」

「クリス殿下、落ち着いてください」

「落ち着いてなどいられるか! ニールやマリアの力がなくとも、巨大な魔獣を退治できたなど信じられないじゃないか……」


 遅れて温泉宿近辺にやってきたクリス王太子一団は、既に魔獣の退治が終わった旨をカイ、アンディから説明を受けていた。


「こちらが魔獣を退治した証拠です。もう一つは既にお見せしましたが、昨日倒した魔獣の魔石です」

「この魔石は……明らかに大きいし、流れる魔力も力強いな。確かに、カイ殿が言った通り退治したのだな。しかし一体どうやって……」

「いや〜〜エリアナ様の作るご飯は本当に美味しかったなぁ!!」


 「は?」という顔で、向こうを歩いていた温泉宿の主人をクリス王太子が見る。


「おい、エリアナと言うのは、あのエリアナ・エンフィールド公爵令嬢のことか!? エリアナがここにいたと言うのか!?」


 ビクッと肩を震わせる主人と従業員達。カイは(あぁ、バレてしまったか。まぁ仕方がないか……)と思った。


「そこの主人、エリアナがいたと言うのはどういうことだ? 説明するんだ」

「あ、はい、えーと……エリアナ様は料理が得意とのことで、我々に料理を振る舞ってくれまして。なんならレシピまで提供して下さいました。
 その後、魔獣退治にも参加されていたので、我々はエリアナ様の援護をしました」

「なに!? エリアナが魔獣退治に参加していただと? それで、彼女は今どこにいるんだ!?」

「もう既に次の場所へ旅立たれましたが……」
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