婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「では、我々は他の地域も回りますのでお先に。あぁ、エリアナ嬢が作るパンやご飯は本当に美味しいので、急いでまた食べに行かないと。それでは!」
カイとアンディは急いで温泉宿を出て、風魔法を使って一気にその場から離れる。
本来、風魔法では一人しか移動できないのだが、カイは規格外なのでアンディも一緒に移動させることができた。
カイとアンディの足元から、クリス王太子の叫ぶ声が聞こえる。
「おい! 二人はエリアナの手料理を食べたのか!?」
それを聞いたカイは「プハッ」と吹き出してしまった。
「ハハッ あの王太子は、エリアナの手料理が食べられなくて悔しがってるのか! この瘴気や魔獣を解消できないことを、悔しがるべきなんだが」
「……カイ様も悪い人ですね。わざと挑発するような言い方をしましたよね?」
「いや? エリアナのご飯を食べたいのは本当だが?」
「フッ あなたも素直じゃないですね」
そんなことを話しながら、カイとアンディは馬車で移動するエリアナ、ケイティの元へ急いで移動した。
***
「カイ様、早かったですね! クリス様とお話しできたのですか?」
「あぁ、もちろんだよ。たまたま温泉宿の主人がエリアナのことを話していて、君がいたことがバレてしまったんだが……」
「まぁ! 何か言われましたか?」
カイ様、アンディと合流した私たちは、途中からカイ様・私の馬車と、アンディ・ケイティの馬車に分かれた。
今、私はカイ様と向かい合って座っている。