婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

第13話:海の幸と不思議な魔法

 私たち一行は、王都の外れにある海辺の街・メーアに到着した。この海を渡れば、カイ様の故郷・マリン帝国がある。


「ここに来るのは久しぶりだな、祖国を思い出す」

「潮風が心地良いですね……。ここにはどんな食材があるのか、楽しみです!」

「ハハッ エリアナは本当に食べることばかりだな。それが可愛い所でもあるんだけど」

「カイ様、それって褒めてます?」

「もちろん」


 そんなことを話しながら、メーアの街を一望できる場所に立つ。海面に太陽の光が照らされて、キラキラと光の粒が輝いているように見えた。


「魔獣が出てくるまで、少し余裕があるかな? 急いで出てきてしまったから、きちんと休んで英気を養おう」

「えぇ、今回は水属性の魔獣なので、アンディが一番活躍すると思いますが。アンディ、ゆっくり休んでね?」

「……私一人では厳しいと思いますので、作戦を練った方が良さそうですね。あとは、エリアナ様のご飯を食べると、なぜか魔力が増しますので是非」


 アンディがカイ様の様子を見ながら、お願いしてくる。
 カイ様はムッとしていたが、自分が一番食べているからだろうか。視線で不満を訴える程度で、それ以上何も言わなかった。


「荷物を置いたら、早速、市場に行ってみても良いですか?」

「もちろんだよ。すぐに一緒に行きたい所なんだけど、私とアンディはドルフ村で退治した魔獣について祖国に報告する必要があるんだ。
 なるべく早く報告書をまとめるから、先にケイティと二人で見ておいで」

「分かりました! 裏通りや人気(ひとけ)の無い所は行かないように気をつけますね」
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