婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
早速食材を買って、ジャンさんの経営する宿に移動しようとした時だった。仕事を終えたカイ様とアンディも市場に来てくれて、ジャンさんと会った経緯やこれからやろうとしていることについて説明した。
カイ様は「エリアナらしいね。私達も手伝うよ」と言ってくれて、4人揃ってジャンさんの宿に向かうことにした。
ジャンさんの宿に到着してからは、早速買って来た食材を並べて料理に取り掛かる。
候補に挙げたカプレーゼ、アクアパッツァ、パエリアを試食用に作った。トマトやバジル、レモン、エビなど、色鮮やかな食材で彩られていく。
見ているだけでも元気になれそうだ。肝心の味の方も問題なかった。
「おぉっ! これは美味いな〜〜! エリアナ嬢は王家の料理人なのか?」
「フフ、ありがとうございます! でも、私は至って普通の貴族令嬢なんです」
「料理人にならないのが勿体無いくらいだ。と言っても、そこら辺の料理人には作り出せない物だな。本当にレシピまで教えてもらって良いのか?」
「えぇ、もし皆さんの評判が良ければ、ぜひこの宿の看板メニューにしてください」
「……あのーエリアナ? 私達も食べていいか?」
「え? あぁ!もちろんです! 三人とも召し上がってください!」
今か今かと待ちきれない様子で待機していたカイ様、アンディ、ケイティも、早速食べ始めた。
「うん! これは美味しいな。特にパエリアは止まらないぞ」
「あ、カイ様、私の分も残しておいてください」
「アンディの分もまだあるぞ、安心しろ」
「お嬢様、こちらなら住民の皆さんにも喜んで頂けそうですね!」