婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「それなら良かったわ! では、食べ終わったらアンディとケイティは早速広報活動をお願いしても良いかしら? この街で顔が通じているジャンさんも一緒の方が良いわね。
ここの料理人さんにはレシピをみっちり教えておきますので! あと、カイ様は下準備を手伝って頂けますか?」
それぞれの役割分担が決まった所で、早速動き始めた。アンディとケイティは以前も広報活動を手伝ってくれたので、二人に任せた方が良いだろう。
カイ様は水魔法を使えるし、料理の場面では色々と助かる。
王太子殿下一団が到着するのは三日後ということもあり、住民に料理を振る舞うのは二日後ということになった。結局、ゆっくり休むことなくドタバタ動き回ることになるーー。
***
「エリアナ、君が料理を作っている時、少し光が舞っている時があるのに気付いてる? 以前、パン生地を手でこねていた時もそうだった。あとは魔獣退治で魔力を放出する時も。
……君自身が気づいているか気になっていたんだ」
住民にご飯を振る舞う日になり、カイ様と食材の下準備をしている時に突然そんな話をされた。
先日、ドルフ村での魔獣退治で火魔法を使った時、キラキラと光が舞っていて『何だろう?』とは思っていたけれど。まさか、料理をしている時もだったなんて。
それにカイ様は、そのことに以前から気付いていたと言うのだ。
「魔力を放出する時、光が舞っていることに最近気づいたのですが……料理をしている時も、ですか? 全然気づきませんでした」
「あぁ、まるでマリン帝国の聖女が放つ、光魔法を見ているようだ」
「え? それってどういう……」