婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

「エリアナ嬢ー! お客さんが入ってきたが、オーダー受け始めて大丈夫か?」


 突然ジャンさんから声をかけられ、ハッとする。そうだ、今日は住民の皆さんに料理を振る舞うんだった。


「はーいっ! お願いします! ……カイ様、その話はまた追々聞かせてくれますか?」

「あぁ、私も確証は無いんだが。まずは、目の前の料理だな」


 この日、近隣に住んでいる人はもちろんのこと、瘴気の影響で体調を崩していた人も体を支えられながら来店してくれた。


 皆が口々に「美味しい!」「見た目も鮮やかで元気になる」「体が軽くなったような気がする、滋養強壮効果でもあるのか?」と絶賛してくれた。

 笑顔で去っていく姿を見て、心臓のあたりがポカポカと温かく感じた。


「お嬢様、追加したレモネードも好評でしたね! 明日の王太子殿下対応も問題なさそうで、安心ですね」

「えぇ、これだけ喜んでもらえたなら、大丈夫そうね」


ーーこうして、ジャンさんが懸念していた『王太子殿下への食事』に向けて準備は整った。



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