婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

 そう言って、カイ様は私の手を取りキッチンを出ていく。それに続いてアンディとケイティも退出した。


***


 次の日、ケイティと二人でまた市場にやってきていた。


「それにしてもお嬢様、昨日は驚きましたね。まさか王太子殿下自ら、キッチンまで来られるとは」

「えぇ、あそこまで来るとは思わなかったわね」


 そんな話をしている時だった。「キャーーーッ!?」と女性の大きな悲鳴が聞こえてきた。


「な、何!?」
「お、お嬢様……本当に魔獣が出てきてしまったようです……!!」
「え、もう!? 想定より早かったわね」


 そう言ってからペンダントを握り締める。カイ様に繋がったので、状況を報告した。


「カイ様! 市場近くの海辺に、魔獣が現れました! タコのような形をした、巨大な魔獣です!!」

『エリアナ! 連絡をありがとう! アンディと風魔法ですぐに行く!!』

「宜しくお願いします!……ケイティ、カイ様もアンディもすぐ来てくれるそうよ!」

「安心しました……お嬢様どうされますか?」


 ケイティがそう話す横では、多くの逃げ惑う住民が走っていく。私は住民達が向かう方向と、逆の方向に足を踏み出した。


「今回は水属性の魔獣で私は相性が悪いけれど……アンディのために手伝えることを探しましょう!」

「……そうおっしゃると思いました!」


 そうして私たちは、魔獣がいる方向に向かって走り出した。


***


「カイ様! アンディ! こちらです!」

 魔獣から一定の距離を取りながら、動きを観察していた私たちは、カイ様・アンディと無事合流することができた。
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