婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
「アンディ、何か作戦は立てられた?」
「それが、あまり有効な戦い方が見つかっておらずでして……マリン帝国で海に魔獣が出た場合は、とにかく数で圧倒しておりました。
今回はマリン帝国を挟んだ海に出現することもあり、援軍を要請していたのですが……想定よりかなり早く現れてしまったようです」
「アンディ、私は剣で応戦しよう。ケイティの土魔法で足止めするにも、砂浜では粒子が細かくて扱うのが難しそうだな」
「そうなんです……お役に立てず申し訳ございません……」
「エリアナも、今回は水魔法と火魔法では分が悪い。二人は、住民に被害が及ばないよう注視してもらいたい」
「「かしこまりました!」」
私とケイティは、戦う二人の邪魔にならないよう一定の距離を保つようにした。アンディはやはりカイ様の護衛騎士だからか、そこらへんの雷魔法の使い手より圧倒的に強い。
何度も魔獣に狙いを定めて、高速で雷を落としていく。
魔獣は攻撃を受けて呻き声をあげているが、致命傷ではないのか、反撃の手を緩めなかった。
「ケイティ、何だか、どんどん出会う魔獣が強くなっていない? それに、大きさも」
「えぇ、明らかにレベルが上がっていますね。雷魔法の使い手が束になってかからないと、とても厳しそうです」
「あら、あれは……クリス様かしら?」
「えっ?」
こちらに向かってくる人影に見覚えがあった。王太子殿下を含めた5人だ。
「魔法使いのニール様は全ての基本属性の魔法が使えるけれど、戦闘に特化していないのよね。残るは……あ!レオナルド様がいるじゃない!」