婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
街の住民はほとんど逃げたはずだが、なぜかジャンさんを筆頭に人が押しかけていた。
「ジャンさん! どうされたんですか!? ここは危ないですよ!!」
「あ! エリアナ嬢!! 雷魔法の使い手を連れてきたんだ! みんなエリアナ嬢のご飯を食べた奴らだ! 加勢するから任せろー!」
「皆さん……! 本当にありがとうございます!」
顔ぶれをよく見ると、一昨日ご飯を食べに来てくれた人々だった。なるほど、この街の人は雷魔法の使い手が多いのか。
私はペンダントをぎゅっと握り、少し離れたカイ様に話しかける。
「カイ様! 街の皆さんが魔法で加勢して下さるそうです! 皆さんに指示を出してくださいますか?」
『あぁ、分かった! エリアナ、連携ありがとう!!』
その後は、カイ様の指示もあり、皆で一斉に雷魔法を魔獣に打ちつけた。
カイ様が剣で触手を斬っていたこともあり、動きが鈍くなっていた。魔獣はプシューッと音を立てながら、体がどんどん小さくなっていく。
そうして砂浜に流れついた魔石を、カイ様が拾った。
「皆のお陰で無事退治することができた! 特にレオナルド殿とアンディは素晴らしかった! ありがとう!」
それを見た住民たちから、ワーッと歓声が上がる。
「やったぞー! 魔獣を倒したぞ!」「カイ様、素晴らしい指揮でした!! まるで英雄です!」と、カイ様を褒め称える住民もおり、その様子を見ていたクリス様は歯軋りをしているような様子だった。
(そんなことで悔しがっている場合では無いのに。この次は魔獣の王と戦わなければならないのだから……)