婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される
そんなことを考えながらクリス様の様子を見ていると、カイ様がこちらに近づいてきた。
「エリアナ、サポートしてくれてありがとう。助かった」
「とんでも無いです、私は皆さんの勇姿を見ていただけで何も」
「皆さん、か。レオナルド殿に見惚れてるんじゃないかと、ヒヤヒヤしていたよ」
「カイ様ったら。戦いながらそんなことを考えていたんですか?」
「私はいつもエリアナのことを想っているからな」
カイ様の真剣な眼差しと優しい笑みに、また心が揺さぶられてしまう。どう返したら良いのか考えていると、カイ様から切り出した。
「エリアナに話したいことがあるんだ。次の場所に移動する前に、二人きりの時間を作れる?」
「えぇ、もちろんです」
(話したいことって、何だろう……?)
私は私で、カイ様に対するこの気持ちが何なのかもう分かっていた。ただ、それを受け入れて、言葉にする勇気が無かっただけだ。
「私もカイ様にお話ししたいことがあります」
「エリアナも? そうか、楽しみにしてるね」
そんな見つめ合う私たちを、遠くからクリス様が見ていることには気付いていなかったーー。
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