婚約破棄された脇役令嬢は、隣国の皇太子の胃袋を掴んで溺愛される

「いえ、それは大丈夫なのですが……クリス様と婚約するで宜しいのですか?」

「クリス様ももちろんかっこいいですし、転移した時はこの婚約に拒否権は無かったというか……私もこの世界でなんとか居場所を作るのに必死で。
 旅をして皆さんの好感度が上がれば、アンジェロ様エンドもあったかもしれないのですが、今はどのルートも厳しそうですね。
 あぁ、せっかく転移したのに全然乙女ゲームのシナリオを堪能できないなんて! 本当酷です!!」

「それはごもっともですわね……」

「でも、眼福なイケメン達と旅が出来るし、もしかしたら途中で光魔法が発現するかもしれない、と思って開き直りました! もしそれも無理だったら、なんとかして帰れば良いですし。
 以前お会いした、臨時侍女のオフィーリアさんに言われたんです。帰れる方法もあるかもしれないって」


 オフィーリアの名前に『ぎくぅっ』と反応してしまいそうになるが、努めて平静に「そうだったんですね」と笑顔で返した。

 私、無責任なことを言ってしまったかしら……。そんなことを考えていたら、マリア様から驚くべき事実が明かされた。


「あ! エリアナ様と一緒に旅をされているカイ様って、マリン帝国の皇太子、カイル・フェザー様ですよね!? 第二シーズンのメイン攻略対象者ですよ! あんなにかっこいい人と一緒にいられて、うらやましい〜!」

「……えぇぇぇぇっ!?」


(第二シーズンなんてあるの? というかカイ様は隣国の皇太子!?)


 情報量が多過ぎてプチパニックを起こしてしまう。マリア様は気にせず話を続けた。


「はい! あ、エリアナ様は第二シーズン、プレイされていないんですか?」
< 99 / 138 >

この作品をシェア

pagetop