ハロウィンの悪魔
序章
オッドアイ、それは左右非対称な目の色をした、発生確率が約0.0001%といわれるほど珍しい存在。
朝比奈栞というどこにでもいる普通の社会人の女もそれを持って生まれてきた。
右目が日本人特有の黒、左目が赤い色をしている。
これが芸能人であったり、アニメのキャラクターであれば需要があったかもしれないが、栞は特別美人というわけでも無く「あーあの子ね、うん、可愛いよね」くらいの適当に返されるレベルの容姿であり、しっかりと三次元世界に身を置く瞳の色以外は全て十人並みの女だった。
人は他人と同じでない事に忌避感を抱く。
心が幼い幼少期なら尚更だ。
それ故に栞は幼い頃からずっと稀有な視線を向けられ続け、いつしかそれが恐怖へと変わっていた。
多様性などと高尚なことをのたまう人間が世間には存在するが、人と違う事を変だと思う事もまた多様性なのだと、永遠に糸口の見えない無限のループを繰り返しているうちに、栞は30歳の誕生日を迎えていた。
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