ハロウィンの悪魔
「はー…ったく面倒くさいよな。こんな大して重要でもない書類、そっちでチャチャっと書き直しておいてくれたらいいのに融通きかないっていうかさ」
ひらひらと差し戻した紙をおざなりに扱い、そのままデスクへ放り投げる。
「これまでは黙って書き直してくれてたから依頼してたのに。そうじゃなきゃ根暗陰キャババアにわざわざ頼んだりしないっての。お前もそう思わねえ?」
陰口どころかあからさまに悪口を言うその男に流石に怒りが爆発しそうになった。
こちらが好意でやっていた事をわかっていて利用していたのか。
それだけならまだしもその言い方はあまりに酷い。
ここ最近の残業疲れも相まってか流石に文句を言ってやろうかと身を乗り出したところで、隣に座っていた男が口を開いた。
「…そうだな」
そう言ったのは、それまで黙っていた界斗だった。