ハロウィンの悪魔




悲しみで満ちていた心がスッと明るくなる。

容姿に関わらずちゃんと見てくれる人がいる、それがとても嬉しかった。


自分の代わりに界斗が言いたい事を言ってくれたことでいくらか溜飲が下り、栞は落ち着いて彼らに近づく事ができた。



「…あの、」


そう声をかければ、男だけでなく界斗までもがバッとこちらを振り返る。

見るからに焦った様子の二人に「何も聞いてませんよ」といった様子で栞は穏やかな声で言った。



「言い忘れてたんですがその書類、今日中に処理しないといけないので定時までに持ってきてくださいね」
「…は、はい」
「よろしくお願いします」



男は青い顔をして返事をし、それを見ると少しスッキリした。


自席で待ち構えている書類の山を考えれば頭が痛くなるが、それでも心は幾分か晴れやかな気持ちになっていた。







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