ハロウィンの悪魔
「御堂さんは…私を美化しすぎです。私は、外見だって十人並みだし、中身だって根暗陰キャとか馬鹿にされる女なんですよ?」
自棄になるあまりつい嫌味な言い方になってしまった事をすぐに後悔した。
面倒な女だとつくづく自分が嫌いになりそうだ。
「綺麗だってのは、何も外見だけの話じゃねえだろ」
けれどそんな事気にも留めないとでもいうように、至極アッサリと界斗は言った。
「仕事ができて誰が見たって優秀なのに、同僚に理不尽に見下されても顔色ひとつ変えずに冷静に対応する朝比奈はすげえ格好良かった」
界斗の言葉に、じわじわと胸の奥が熱くなっていく。
「お前は必要以上に自分を卑下するが、能力に驕らず誰に対しても誠実で優しい朝比奈だから俺は好きになったんだ」
「…っ」
ーーああ、そうだ。
この人のこういう所に最初は惹かれたんだった。
初めて自分を庇ってくれたあの日。
出会って間も無いのに、見た目で判断する人ばかりなのに、彼はそうじゃなかった。