ハロウィンの悪魔




眉目秀麗で優秀で、クールで完璧な人だと思ってた。

もちろん今もそれは変わらないけれど、お坊ちゃんだからか天然で少しズレたところがあって、けれどそこが可愛くてーー何より、きちんとその人自身を見てくれる、優しいところを好きになった。



今だって全く自信なんか無いし、釣り合うとも思えない。

けれど我儘が許されるなら、ここまで一途に自分を想ってくれる彼の気持ちに、少しでも応えたいと思ってしまった。


「…御堂さん」


手を伸ばして服の裾を掴めば、界斗の身体が微かに震えた。


「私…まだ貴方の隣に立つ資格、ありますか?」



全身の震えが止まらない。


自分を曝け出して本音を伝える事がこんなに恐ろしいとは思わなかった。



ハロウィンの夜だけが、自分自身でいられる唯一時間だった。

けれど今、それを変えようとしている。


ひとえに、目の前の大好きな人に想いを伝えるためだけに。





「私、御堂さんが好きです」





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