ハロウィンの悪魔
言葉にするにはこれまでのどんな事よりも勇気を要した。
けれどいつまで経っても返事は無く、恐ろしくなって見上げるとぽかんと瞬きもせず目を見開き硬直している姿があった。
途端、ガクッと界斗の膝が折れてその場にそのまま崩れ落ちてしまった。
「……はー…」
膝をついて顔を覆いながら大きく息を吐く姿に、これはどういった意味のため息なのかと内心ハラハラとしていると、界斗の小さな声が聞こえた。
「良かった…」
その弱々しい姿にも安心しきった声にも驚きしか無く、栞も膝をついて界斗と視線を合わせ動揺しながら言った。
「ど、どうして?脈がないわけじゃ無いって言ってたのに」
「自分で勝手にそう思うのと実際に言葉でちゃんと言われるのは全然違うだろ」
腕で顔を覆ってしまっていてどんな表情なのかは見えないが、耳が真っ赤になっていることから照れているのだけは分かった。