ハロウィンの悪魔



「…本気なのか」
「え?」
「今更やっぱ無しなんて受け付けねえぞ」
「……」


少しだけ垣間見えた瞳は、涙の幕が張られていた。

きゅうきゅうと胸が締め付けられ、体中に熱が籠るのを感じながら栞は「はい」と静かに応えた。


「もう二度と、貴方に嘘はつきません。…好きです、御堂さん」


二度目の告白は、自分でも驚くほど穏やかな声だった。

その時ふと、電話越しに聞いた親友の言葉を思い出した。


彼女は好きな人の言葉は特別だと言っていた。

今ならばその言葉に「本当にそうだね」と笑って返せる気がする。


界斗は告白を聞くと顔を覆っていた腕を解き、栞の手に自分のそれを重ねた。


「俺も好きだ」


短い言葉だが、その中には多くの感情が込められているように感じた。


「最初に会った時から惹かれてた。朝比奈の事を知る度、どうしようも無いくらい好きになっていった」


重ねていた手が離れ、頬に触れてそのままゆっくりと上へと伝っていく。

まるで宝物にでも触れるかのような繊細な手つきで前髪を掻き分け、そのまま目元に触れた。




「…綺麗だ」




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