ハロウィンの悪魔
閑話
御堂界斗という男は、自身の恋愛観がかなりズレている事に全く気付いていなかった。
家族の中で唯一の女である母親から教えられた恋愛の極意は「押して押して押しまくれ」というもので、一度でも頷かせて仕舞えば勝ちなのだと、彼女は自分含める二人の息子達にそう言い聞かせてきた。
齢四歳にして植え込まれた価値観はしっかりと根付き、そのまま殆ど異性と関わる機会もなく思春期を過ごし、大学で共学となりそこで初めて女性と勉学を共にするという経験をした。
しかもそこで異性の友人…と呼べるような間柄になったのが比山遥香という女で、不幸な事にこれもまた生粋の肉食女子だった。
彼女は界斗の小学生からの幼馴染である葉に惚れ込み、恐ろしい程の執念で猛アプローチを続けついに自分のモノにする事に成功した。
こうして見事なまでの女運の悪さから完全におかしな恋愛観が出来上がってしまい、そんな時に出会ってしまったのが朝比奈栞だった。