ハロウィンの悪魔
けれど朝になると彼女の姿は無く、界斗は名前も知らない女を狂ったように追い求めた。
この時初めて、元々その気のなかった父を強引に落としたという母の遺伝子を感じた。
あまりに淡白なので本当に自分の子かと疑われた日も少なくないが、間違い無く親子だと言えるだろう。
「界斗、なんか取り憑かれてるみたいだよ」
気のいい幼馴染にそう心配されたのはいつだったか。
栞と出会う前か、その後か。
兎にも角にもそんな歪んだ恋愛観を持ちつつも、閉ざしきってしまった栞の心には界斗の一歩間違えればストーカーとも取れる数々のアプローチが逆に功を奏し、晴れて交際へと至る事となった。
つまるところ、破れ鍋に綴じ蓋というわけだ。