ハロウィンの悪魔







翌年の10月31日、二人は婚姻届を提出した。


「本当にこの日で良かったの?」


栞の誕生日というだけで別に縁起のいい日でも無いし、大安というわけでも無い。

役所に届けを出した後、本日からスタートする新婚生活の為の家に戻り、二人で並んでソファーに腰掛けながら栞は不安げにそう尋ねた。


「い、今更なのは分かってるんだけど…ほら、縁起のいい日のほうが別れにくいって言うし…」


界斗と付き合う中でかなり劣等感は改善されたものの、自尊心の低さについては大きく改善はみられなかった。

界斗はそんな栞を安心させるように肩を抱き、その額に優しくキスを落とした。


「心配しなくても、今後も離してやるつもりなんて一ミリもねえよ」
「…、界斗くん…」


恋人になって直ぐに変えた呼び名を口にしながら、そっと身を委ねるように愛しい夫の胸元に顔を落とした。







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