ハロウィンの悪魔
界斗は素直に甘えてくるようになった妻に愛しさを感じながら、その頭にそっと手を乗せ痛みを知らない艶やかな黒髪を指で梳いた。
「それに、俺たちが結婚すんならこの日以上に理想的な日はねえだろ」
「どうして?初めて出会った日だから?」
「それもあるが、もっとそれらしい理由があるだろ」
言葉の意味がどうしても分からず顔を上げれば、すかさず界斗の唇が自分のそれと重なった。
「お互いハロウィンの夜に魅入られた者同士、これ以上無いくらいおあつらえ向きな日だろ」
そう言った界斗は悪魔のように恐ろしくも美しい笑みを湛え、愛しい妻に覆い被さるようにしながらソファへと深く身を落とした。
「…そうだね」
非対称な色の瞳は蠱惑的に細められ、血のように赤い瞳が界斗を射抜く。
艶かしい紅に反射した自分の姿を見た時、ゾクリと背筋が震え甘い痺れが体中を蹂躙する。
どうしようもないほど魅了されてしまっていると気づいた時にはもう遅く、白磁のように白い肌に唇を落とし、欲望のままに瞳と同じ紅い花を散りばめていった。
Fin...